No.3606 初期詩編




       初期詩編


        浄  土


命限(いのちかぎ)りの母を呼ぶ声の響(ひびき)。

そのひたすらな一念(いちねん)が
春まだ早き昼日(ちゅうじつ)の
セルリアンの空一杯に満ちあふれ
その児(こ)を抱(いだ)き
母をも抱き
永遠の
在(あ)りて在(あ)らぬ愛憎(あいぞう)の
彼方(あなた)にぞ開(あ)け出(い)でて

いまははや
かなしき浄土(じょうど)の現前(げんぜん)を
ただ無心(むしん)にぞ遊戯(あそ)びたり。




    人知れず涙なすあなたに


人知(ひとし)れず涙(なみだ)なすあなたに
この小さな光を贈(おく)ります
この光はありふれた光にすぎないのですが
それでもその優(やさ)しい明るさに気付かれたなら
その物憂(ものう)く沈んだ心の内も
少しはなぐさみを見出(みいだ)して
時々はその口辺(こうへん)に笑(え)みを浮かべることにもなるでしょう。
そして、人の心に巣食(すく)う悲しみの多くが
こんなささやかな光を見失って現(あらわ)れた
ほんのひとときの迷(まよ)いにすぎないことに気付くでしょう。


そうすれば、きっと、

人ひと知しれず涙(なみだ)なすあなたよ、
今はその頬を流れる憂いの粒も
やがて晴れやかにも乾(かわ)き果て
明るい光を放(はな)ち始めたその顔(かんばせ)が
やがて愛する人の口辺(こうへん)を

頬笑(ほおえ)ませることにもなるのです。
そんな嬉(うれ)しい日のあなたを想(おも)い
まだ閉じられたままのその心の中に
今はそっと、この小さな光を忍(しの)ばせましょう。


   ・・・ホームページから転載・・・

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