No.3669 LOTUS 200( ロータス トゥーハンドレッド ) 4 




  第  二  部


     1



 翌朝、戸外で雨が降っているような音で眼が覚めた。すでに室内は外からの光で明るくなっていた。時計に目を遣った。5時半だった。温室のガラス戸越しに外を透かし見ると、青い空が目に映った。少しも雨が降っているようには見えなかった。

 わたしはベッドの上でゆっくりと上半身を起こした。そして、まだねむい眼を凝(こ)らして外を覗(うかが)い、その雨音のような音の正体を見極めようとした。やがてそれが庭の草木に散水している音らしいと思い至った。しかし戸外に人影らしきものはなかった。どうもそれは決められた時間に自動で散水されているもののようであった。ここではほんとうにいろいろなものが自動化されていて、科学技術の便利さを十二分に享受しているらしかった。

 ベッドから抜け出すと廊下に出た。まだ山本家の人々は誰も起き出してはいないようだった。わたしはトイレに入って小用を足した。そしてまた部屋に戻ると温室を眺め始めた。

 きのう美事に開いていた夜咲きの睡蓮はその花びらを閉じかけていた。一方、すみれ色や黄色の昼咲きの睡蓮がその花弁をきれいに開いていた。その様子には、昨晩見た紅白の花が鮮やかに咲いている趣(おもむき)とはまた違った華やかさが漂っていた。

 その時ふと、黄色い睡蓮の大きな花びらの上で、一匹の小さな雨蛙が、その手足をきれいに折りたたんで眠っているのに気が付いた。その雨蛙のつややかな黄緑色の肌が美しかった。さらに視線を池水の中に向けると、睡蓮の大きな浮き葉の下で、形も色も大きさもさまざまな、熱帯魚のめだか、グッピーが、さかんに色鮮やかな尾を振りながら泳いでいた。

 そんなグッピーたちの泳いでいる様子を眺めながら、わたしは山本さん一家と共に過ごした昨日の不思議な時間を静かに反芻(はんすう)していた。そしてこのロータス世界では、この世のありとある一切のものの根源的な母胎である全(まった)きPLEROMA(プレローマ)そのもののように、あらゆるものと一つになろうとする愛の働きを通して、すべてのものとの間にいかなる差別もいかなる偏(かたよ)りも無い完全なバランス状態を築き上げようとしているのだ、ということを思い返していた。セレステさんの、この地球世界をPLEROMAのように愛が充満する完全調和世界に変えていきたいという祈りが、そのままこのロータス世界全体の祈りでもあるに違いないと思った。そしてその祈りとともに、それぞれの家庭のみならず、地域社会と、ひいては地球社会全体のあらゆる物事を理想的な状態へ近づけて行こうという努力が、住民全員の手によって日々積み重ねられているのだと想われた。それが当然のことのようにして行なわれるさりげない愛と知恵の働きによって、住民一人一人がその精神性をお互いに高め合い、ひいてはさらに、地球社会全体のシステムを完全化していこうとする本質的で生き生きとした生活がここにはある。そして、今日はそんな理想的な世界を実際に見てまわるのだと思うとやはり心が躍るのだった。
 わたしはそのまま着替きがえを済すませてしまった。
 それからほどなくして部屋の外で人の動き出す気配がし始めた。
 ドアを開けて部屋の外に出てみると、廊下の向こうからやって来る山本さんの姿が眼に入った。

「おはようございます、山本さん。」
「あ、小山さん、おはようございます。昨夜はよく眠れましたか。」
「はい、おかげさまでぐっすり眠れました。」
「それはよかった。小山さん、こちらに歯ブラシとタオルがありますので、どうぞお使いください。」
「すみません。ありがとうございます。」
「それから、朝食は7時頃になりますのでそれまでは自由にしていてください。」
「はい、分かりました。」
「それから、わたしは食事をしてしばらくしたら出かけますが、小山さんたちは多分9時ごろに家を出ることになると思いますから…」
「そうですか。分かりました、ありがとうございます。」

 わたしはさっそく洗面所に行き、歯磨きと洗面を済ませた。それからまた部屋に戻って、温室のランの花や睡蓮の花を眺め始めた。そのうちふと外でしていた散水の音が消えていることに気が付き、庭に出てみた。庭の土はもう隅々まで水を撒かれて黒く湿っていた。菜園の様子や果樹の様子を眺めながら、LOTUS 200年7月5日のすがすがしい朝の空気を胸一杯に吸い込んだ。

「おはようございます。」

 すぐ近くからの声だった。急いで声のする方に顔を振り向けると、右隣りの庭の通路に、五十代半ばと思われる優しそうな眼差しの女性が一人、こちらを向いて立っていた。

「おはようございます。」
「山本さん家(ち)のお客様ですか?」
「はい。昨日お邪魔して泊めていただいた者です。小山といいます。」
「小山さんですか。ああ、そうですか。わたしはキムと申します。」
「キムさんですか?」
「はい。三年前に一人娘がこちらの地区の人と結婚したものですから、そのとき夫と共に半島の北の方からこの地区に引っ越してきたのです。」

 そのときはじめて、その女性の日本語に少し韓国語訛りのようなものを感じた。

「ああ、そうですか。こちらの生活はいかがですか?」
「こちらは向こうに比べると気候が穏やかな分だけ過しやすいようです。」
「そうですか。わたしは今日、こちらの美沙さんや理沙ちゃんに、この地区の案内をしてもらうんです。」
「おや、そうでしたか。ここにはいろいろと面白いところもありますから思う存分楽しんでいってください。」
「はい、ありがとうございます。ところで、キムさんのお庭にはどんな果樹が植えられてるんですか?」
「みんなわたしたちの前に住んでいた人から受け継いだものですが、栗や胡桃や柿や花梨(かりん)や枇杷(びわ)などがありますよ。みんなよく実を付けてくれます。ご近所の人たちとお互いの実を分け合ってるんですよ。」
「それはいいですね、季節ごとにいろんな果実が楽しめて...」
「ええ、ほんとうに。それでは、ちょっと失礼します。」 と言いながら、キムさんは菜園の方に足を向けた。

 わたしは通りに面した入り口近くにあるキャベツ畑のところに来た。その辺りを眺めながら、ここがこれから理沙ちゃんの蝶の花園になるんだなと思った。今はモンシロチョウや小さいシジミチョウしかいないこの辺りに、来年からはいろんな種類の大きなアゲハチョウなども飛び回るのかと思うと何となくわたしまで嬉しくなってきた。そして理沙ちゃんの輝くような笑顔が脳裏(のうり)にハッキリと浮かんできた。

 通りを眺めてみたが、まだまったく人の気配は無かった。ここには新聞配達人もいないようだった。通りの幅は6メートルくらいで、30センチ四方のオリーブ色のセラミックタイルのようなものがきれいに敷き詰られていた。そしてどこにもコンクリートやアスファルトのようなものは見当たらなかった。
 あたりからはスズメやキジバトやヒヨドリや尾長やカラスなどの鳴き声が頻(しき)りに聞こえてきた。どこで飼っているのか、うずらやニワトリの鳴き声も聞こえてくる。それから驚いたことに、左隣りの庭のすぐ近くの木に、枝をつつきながらすばやく動き回るコゲラの姿が目に入ってきた。その可愛らしい姿に引き付けられてしばらくその姿を追い続けた。ここでは濃い緑の中で、生き物たちも生き生きと暮(くら)しているようだった。
 わたしは踵(きびす)を返して庭の通路を引き返し始めた。そして、昨日見たヒメスイレンの咲いている池の前に立った。
 黄色や白色のヒメスイレンの花を見ているうちに、池の縁の方に少し大きい白い睡蓮の花を見つけた。それはどうもヒメスイレンとは違う種類のものらしかった。わたしはその清楚(せいそ)な感じのする花にしばらく見惚(みと)れていた。
 それから池の生き物たちの姿に目を向けた。池の中のいたるところに黒メダカが泳いでいた。また、ヤゴの姿もあちらこちらに見受けられた。アメンボも水面を滑っていた。それから、ミズスマシも泳いでいた。カエルやゲンゴロウもいた。また、池の周りにはトンボやトカゲやバッタなどもいた。
 その時、背後からまた女性の声がした。

「小山さん。」
「はい。ああ、キムさん。」
「これ、わたしが漬けたキムチです。少ないですが、皆さんと朝ごはんにでもどうぞ召し上がってください。」

 と言いながら、垣根越しにキムチを入れた容器を手渡してくださった。

「ああ、すみません。それじゃ、遠慮なくいただきます。これはおいしそうなキムチですね。」
「ちょっと辛いかもしれませんよ。」

 と言うと、キムさんは微笑みながらふたたび家の中に戻っていった。
 わたしもそのキムチを持って、山本さんの家に戻った。廊下を歩いていると階段からパジャマ姿の理沙ちゃんが下りてきた。

「あっ、理沙ちゃん。お早う。」
「お早う、小山さん。もう起きてたの。」
「うん。庭の水撒(ま)きの音で目が覚めたみたいでね。あ、それで、これ、お隣のキムさんの奥さんからいただいたキムチ、朝食にでもどうぞって。」
「うわ~、キムさんとこのキムチ? わたし大好き。これとってもおいしいのよ。ラッキー! 後でみんなといっしょに食べましょうね。 あっと、それから小山さん、今日わたしたち9時ごろに出発しますからね。」
「はい、そうらしいですね。先ほどお父さんから聞きました。」
「あっ、そう、お父さんから聞いたの。それならいいけど。それから、うちでは朝食はいつも7時頃になるから、まだゆっくりしててもいいよ。」
「はい、分かりました。それじゃ、また、後で...」

 わたしは理沙ちゃんと別れてまた部屋に戻った。

 ガラス戸の隅においてあった腰掛けに座って温室を眺めているうちいつしか、自分の記憶の糸を手繰り始めていた。しかし、その糸は7月1日あたりで切れているらしかった。アメリカから日本政府に、日本企業とイランとの間のアザデガン油田開発事業の契約の調印を延期すべきだと言ってきたところまでの記憶は残っていた。しかしそれから以後の記憶は個人的なものも社会的なものもまったく無かった。それから何が自分に起きたのか皆目(かいもく)見当が付かないのだった。しかし、今の状況が悪夢のようなものであればわたしも慌てふためいて嘆かなければならないところだが、その逆に今は居心地のいい理想世界にいるのであってみれば、過去の記憶の無いこともそれほど気にはならないのだった。そして今はこのような絶好の機会をできるだけ楽しんでみようと思った。記憶が戻って昔の世界に帰ったとしても、今より何一ついいことはなさそうに思われるのであってみればなおさらそう思われてくるのだった。そして、このロータス世界から日本社会を眺めてみると、物はあふれているが、心はひどく貧しい国のように見えてくるのだった。

そのとき、ドアをノックする音がして、山本さんが部屋に入ってきた。

「小山さん、朝食の支度ができるまでリビングに来てニュースでも見ませんか。」
「はい、すぐ行きます。」

 リビングへ行くと、台所からセレステさんが朝食の用意をしているらしい物音が聞こえてきた。
 ソファーに腰掛けている山本さんの隣に座ると、モニターのニュースを眺め始めた。

「今日は何か特別なニュースはありますか?」
「いえ、とくに無いようですね。全ては順調に行っているようです。世界の他の委員会のニュースも見てみたんですがとくに変わった様子はないようですね。」
「山本さんの委員会の会合は今日何時から始まるんですか。」
「九時からなんですが、今日はわたしが司会の任に当たっているので、少し早めに行こうかと思っているんです。」
「そうですか、ごくろうさまです。場所はどちらですか。」
「はい、中央公園にある委員会事務所です。わたしたちが昨日降りたあの駅のある公園です。今日はそこまで自転車で行きます。」
「自転車だと大分掛かるでしょう。」
「ええ、15分ほど掛かります。しかしちょうどいい運動になりますから。」
「そうですね。そのほうが体にいいですからね。ところで、山本さん、今朝、ヒメスイレンの咲いてる池に行ってみたのですが、そこにヒメスイレンよりは大きい、すごく清楚な感じがする白い睡蓮の花が咲いていたのですが、あの睡蓮はなんという種類のものでしょうか。」
「ああ、あれは未草(ひつじぐさ)といって日本の山地の池や沼地に昔から自生(じせい)している睡蓮なんですよ。わたしもあの素朴な感じがなんともいえず好きなんです。」
「睡蓮といっても、ほんとにいろんな種類のものがあるのですね。そして、みんな美しいですね。」
「ええ、それで、仏典の浄土三部経や法華経などに出てくるいろいろな色の蓮華(れんげ)も、その多くが睡蓮なのですよ。あのいわゆる蓮(はす)と呼ばれているものもスイレン科に属しているのです。」
「なるほど、睡蓮は仏教とは切っても切れない関係にあるのですね。」
「はい。それから、古代のエジプト神話においても、ナイル川に咲いてた青い睡蓮と白い睡蓮は神に関わる聖なる花として中心的な役割を担っていたのですよ。」
「やはり、睡蓮は永遠を表わすロータスとして、精神世界にとってなくてはならない象徴的な花なのですね。」
「はい、小山さんのおっしゃる通りなのです。」



     2



 その時キッチンからセレステさんがお茶を持ってリビングに入ってこられた。

「お早うございます、小山さん。 昨夜はよく眠れましたか。」
「お早うございます、セレステさん。はい、おかげ様でぐっすり…」
「それはなによりでした。さあ、お茶をどうぞ。」
「はい、どうもありがとうございます。」
「朝ごはん、すぐ用意できますから、しばらくお待ちくださいね。」
「はい、どうも、すみません。 …ああ、そうだ山本さん、今朝、温室の黄色い睡蓮の花びらの上で雨蛙が寝ていましたよ。」
「ははは、温室の雨蛙をご覧らんになりましたか。 小山さん、どうもその雨蛙は黄色い睡蓮の花びらが大好きなようなんです。よくその上で寝てるんですよ。」
「そうですか。しかし、睡蓮の花びらで寝ている雨蛙って可愛いものですね。」
「ええ、ほんとに可愛いものです。 考えてみれば、この世に生きているものはどれもみんな可愛いですね。 グッピーも、メダカもゲンゴロウもドジョウもみんな可愛いです。 ところで小山さん、モニターで今日のわたしたちの小区の予定を見てみましょうか。どこで、どんな催し物があるかひとつ見てみましょう。 えーっと、そうですね、今日は公園で俳句会に、大道芸に、テニス大会に、バザールに、公園の樹木の剪定(せんてい)と整姿(せいし)のボランティア活動、そのほか釣り大会などいろいろありますね、まあ、今日は土曜日ですからね。」
「すみません、山本さん、今、わたしたちの小区、と言われたでしょうか。そうしますとこの地区はいくつかの小区に分かれているのですか。」
「はい、そうなんです。この地区は17の小区と5つの山里地区に分かれています。一番大きな小区は中央公園を中心とした中央区で人口は2万人です。残りの16の小区の人口は九千人から一万二千人までの間にあります。山里地区は千五百人から二千人までで、主にそれぞれの近くの山林の管理にあたっています。それで、17ある小区はその中心にそれぞれの地区の公園があって、その公園を中心に円形や馬蹄形(ばていけい)に住居が取り巻いているのです。そして、地区ごとにテレポーターによる連絡網が築き上げられています。そしてそれぞれの小区はそれぞれ特色のある公園を造り、それを管理し、また独自のコミュニティー運営を行なっています。それから、小区にはさらに千人単位のサブ・コミュニティーがあって、その中心に食品集配所が設けられているのです。」
「ああ、なるほど、やはり生活の実情に合わせてそれぞれの小区も適切な規模の区分けがなされているのですね。 そして、その一番身近かなコミュニティーがサブ・コミュニティーであり、その他に五軒の緊急連絡網もあるんですね。」
「はい、そうなのです。そして、小区やサブ・コミュニティーで何か住民の意見を聞かなければならないようなことが起こると、その都度、臨時委員会の委員が選挙あるいは抽選によって選出され、その臨時委員会によってさまざまなことが取り仕切られて一つの結論へと導かれていきます。そして、いったん結論に達すると臨時委員会は解散されるのです。」

 その時、姉妹が揃ってリビングに入ってきた。二人とも普段の部屋着らしいゆったりとしたワンピースを身につけていた。

「お早うございます。」
「あ、お早うございます美沙さん。今日はよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いいたします。」
「小山さん、今日はいろんなところへ行きましょうね、きっと楽しいことがいっぱいあるわよ。」
「ほんとに楽しみだな。」
「小山さん、今日は九時頃に、中型のエアーカーに乗って一、二時間ほど、高度百メートルから五百メートル位のところからこの地区のパノラマをご覧いただきます。その後は、小型のエアーカーを使ったり自転車に乗ったりしながら、いろいろなところを目の前で見ていただきながらご紹介しょうかいしていく予定です。」
「そうですか。それではまずこの地区の全体の様子を空から眺めることが出来るのですね。」
「はい、それがこの地区を知っていただくのに一番理解しやすい方法だと思いますので…」
「いやあ、ほんとに楽しみになってきました、上から眺めたこの地区のパノラマはどんなものなんでしょうかねえ。」
「小山さん、高い空からこの街全体を直接ゆっくり眺めるのはわたしも今日が初めてなの、だからとっても楽しみなのよ。」
「えっ? 理沙ちゃんもまだ見たこと無かったの?」
「そうよ、写真で見たことはあるけど、実際に見るのは初めてなの。」
「そうなんだ。」
「美沙、理沙、もうすぐごはんだから、食卓の用意をして頂戴。」
「はい。」

二人は台所に入っていった。

 それからまもなく食事になり、納豆に焼きタラコにあさりの味噌汁に焼きのりに隣のキムさんから戴いたキムチのおかずでおいしく朝食を終えた。

 食後しばらくして, 着替えを済ませた山本さんが、自転車に乗って委員会の会場である中央公園へと向かった。
 それからしばらくは、みんなで楽しくモニターで世界のニュースなどを見たり、取り留めもなく話したりしながら過ごしていたが、やがて二人の姉妹は着替えやその他の仕度のために二階へ上がっていった。

「ああ、そうだわ、小山さん、一つお願いがあるんですけどよろしいかしら。」
「はい、セレステさん、何でしょうか?」
「わたくしは今日10時頃におじいさんの家に行くのですが、たぶん美沙たちもこの地域の案内の途中でその家に立ち寄ることになると思います。それで、実は、今年80歳になる義父(ちち)は少しボケが始まっていまして、小山さんにお会いしても少しとんちんかんな受け答えをすると思うんです。その時、申し訳ないんですけど、すべて義父の世界に合わせてあげていただきたいんです。どうか、よろしくお願いします。義母(はは)の方はしっかりしていますので問題は無いのですが...」
「はい、分かりました、もちろんです。」
「義父(ちち)は、暴力を振るうとかという事は無いのですが、時々、人を取り違えてしまうんです。ですから、あるいは小山さんを誰か義父の昔の知り合いと取り違えて話しかけてくるかもしれませんが、その時はどうか義父の世界に合わせて振舞っていただきたいのです。」
「はい、お安い御用です。」
「どうもありがとう、小山さん。ボケの始まった人たちにも、いつまでも自尊心は残っているんです、そしてその自尊心が傷つけられるとその人はたちまちそれに敏感に反応して、子供のように反抗したり暴れたりしてその感情を表わそうとするものなのです。ですけど、どんなに痴呆症が進んでしまった人でも、その人の自尊心を傷つけるようなことさえしなければそれほど凶暴になることもないのです。」
「なるほど。どのような人でもその人の人間としての尊厳を尊重して接してあげなければいけないんですね。」
「はい、おっしゃる通りなのです。どのようなことも環境しだいで良くも悪くもなるのです。老人のボケ症状もまた同じなのです。今は義母がまだ達者で、また元来(がんらい)しっかりした人なので、わたくしたちも週に一、二度お見舞いがてらお手伝いするだけで済んでいるのですが、これからどのように症状が進行していくか分かりませんので、その時その時に応じて最善の方法と環境を整えていきたいと思っているのです。そして、出来るだけ身内の者で、自宅で介護していきたいと思っています。それでもどうにもならなくなれば、施設にお世話になろうかと考えているんです。しかし、それはあくまでも最後の最後の手立てなのです。」
「皆さんにそれだけ手厚く思われていらっしゃるのであればお義父さんもお幸せですね。こちらでは、健康なときも病気のときもそしてきっとこの世に別れを告げるときにも、いつも人間としての尊厳を失うことがないのですね。」
「はい、それはわたしたち住人一人一人がいつも心掛けていることなのです。人間としての尊厳を失ってはこの世に人として生を受け、人として生きていく価値がありませんからね。これはわたくしたちにとってもっとも基本的な、大切に守られなければならない本質権の一つなのです。」
「なるほど…。ところでセレステさん、昨日いろいろなお話を聞かせていただいたんですが、最後にもう一度PLEROMA(プレローマ)について教えていただきたいのですが。 」
「はい、どのようなことでしょうか。」
「結局、PLEROMAって何なのでしょうか?」
「そうですね…、PLEROMAって結局のところ、この世のすべてのものの源なのですが、それはつまり浄(きよ)らかなエネルギーが充満している世界なのです。ですから、そのようなPLEROMA世界から生まれてきたこの世のあらゆるものも皆、同じように浄らかなエネルギーなのです。それで、もちろん、一人の例外もなくわたくしたちすべての人間の心も体も浄らかなエネルギーですし、浄らかなエネルギーで作られたいのちなのです。 ですから、わたくしたちはその浄らかなエネルギーに相応(ふさわ)しく浄らかに生きていかなければならないのです。そのためには自分たち一人一人が自分自身の心を浄らかにし、自分たちが住んでいる社会のシステムを浄らかにしていく必要があるのです。そして、そのような考えを基にして、ロータス元年から二百年掛けて築き上げられてきた社会が、わたしたちが今生きているこの社会なのです。」
「ああ、なるほど、よく分かりました。皆さんにとってこの世のすべては浄らかなエネルギーなのですね。 結局、すべては聖なるものなのですね。 つまり、時間も空間も物質も生命も精神(こころ)も、この世の何もかにもが…」
「ええ、まったく小山さんのおっしゃる通りなのです。」

 その時、これからわたしにこの地区の案内をしてくれる姉妹が二階から揃って下りてきた。美沙さんは黒のタンクトップに白のスラックス姿で、そして、理沙ちゃんの方はと見れば、黄色いTシャツに同じ色合いのキュロットを身につけていた。そして、それは全体がまるで蝶のような形をしており、またそれらにはモンキチョウのような模様がプリントされているのだった。
「理沙ちゃん、今日はモンキチョウだね! 可愛いね、すごく似合ってるよ。」
「そうよ、わたしは今日はモンキチョウなのよ!」
「この調子じゃ、理沙ちゃん、そのうち大きくなったら、アゲハチョウや大紫蝶(おおむらさき)なんかにも大変身しそうだな。」
「うふふ、さあ、どうかなあ。 小山さん、わたしにアゲハチョウになって欲しいの?」
「うん、そうだな、理沙ちゃんがアゲハチョウになったらどうなるか見てみたいものだな。」
「そう、それじゃ、いつかわたし小山さんのためにアゲハチョウになってあげてもいいわよ。」

 その理沙ちゃんの話し振りにはどこか、大人のわたしをからかう様な調子があった。

「んーん? いやあ、どうも理沙ちゃんには負けるよ、今からこれじゃ、僕なんかとうていいつまでも太刀打ちできそうにないなあ。」
「なあに、小山さん、それ何のこと?」 と、理沙は少しとぼけたような口調で言った。
「小山さん、今から十五分ほど後にエアーカーが表の通りに来ますから、それに乗ってわたくしたち出発することになりますので…。」
「あ、そうですか、十五分後ですね。分かりました。ありがとうございます。いよいよ出発ですか。」
「ええ、もうすぐに出発ですわ。」
「いや~、何かほんとにワクワクしてきますね。この先一体何がわたしを待ち受けているんでしょうかねぇ。」
「それは見てのお楽しみですわ。でも、わたくし上手くご案内できればいいんですけど…」
「とんでもないです。美沙さんに案内してもらえるなんてわたしもまったく運のいい男ですよ。」
「まあ、そんなに言っていただいて、わたくしも光栄ですわ。でも、その分だけプレッシャーも感じますけど。」
「まあ、わたしなど、美沙さんが未来の地区改善員さんになるための練習台のつもりで気楽に案内していただければもう十分ですから。」
「ほんとに小山さんて優しい方ですね。」
「いや~、そんなことないですよ、あははははぁ。」
「小山さん、理沙がちゃんと案内してあげるから心配しないでね。」
「・・・」
「さあ、出発前に、お茶をもう一杯召し上がれ!」
「はい、ありがとうございます。 じゃ、いただきます。 なぜか、ちょうど咽喉が渇いていたところなんです。」



     3



「お姉ちゃん、エアーカー、もう来てるよ。」 

 玄関先から理沙の明るい声が響いてきた。

「は~い。 では小山さん、そろそろ参りましょうか。」
「はい。 いよいよ出発ですね。」
「気を付けて行ってらっしゃい。」 

 セレステさんが玄関先でわたしたちを送り出してくださった。

「行ってきまーす。」 

 理沙の元気な声が答える。

「行ってきます、お母さん。 それじゃ、また後で、おじいさんの家で、ね。」
「行ってきます。」

 わたしもセレステさんに挨拶を返しながら、山本姉妹と共に庭の細い道を通りへと歩き始めた。
 庭の門の前には、きのう山本さんと乗ってきたものよりは一回り大きいエアーカーが待っていた。
 美沙さんがテレポーターからシグナルを送ると、エアーカーの透明な両翼(りょうよく)が静かに開いた。
 わたしと美沙さんが前の座席に、そして理沙ちゃんが後ろに座った。
 翼が閉じるとまもなくエアーカーは高速エレベーターのようにまっすぐ上昇し始めた。見る見るうちに高度300メートルに達すると、さらに上昇し続けながら南の方角に向かって滑空(かっくう)し始める。
 後部座席の理沙ちゃんの嬉しさに興奮した声が車内に響いた。

「わあー、写真で見たのとそっくり。ほんとにきれい。ねえ、小山さん、きれいでしょう!」
「うん、ほんとにきれいだね。 美沙さん、ほんとに素敵な町の眺めですね。こんな町がこの世にあるとは信じられないくらいです。」
「ええ、ほんとうに。 この景色はなんど見ても美しいですわ。見るたびにますますこの町が好きになる。」

 エアーカーはさらに高度を上げながら広い田園地帯のようなところを過ぎて、やがて眼下に植林された山々が見える地点に差し掛かった。高度計を見ると600メートルを指していた。

「小山さん、わたくしたちの地区はこの下に見える山々から北に向かって広がっているのですよ。西側には川が流れていて、ほらあそこに光っている一本の筋が見えるでしょう、あの筋がずっと北の海岸線にまで伸びているのです。丁度あの川がわたくしたちの地区の西の境界線になっていて、その対岸には生き物たちのサンクチュアリがずっと隣の地区まで広がっています。サンクチュアリには許可をもらった生物学者などが研究のために入ることが出来るだけで、一般の人が入ることは禁じられているのです。ですから、あの川には一つの橋しか架かっていなくて、その橋も研究者が使う時以外は閉ざされているんですよ。」
「あの川の向こう側ですね。見渡す限り自然の森が広がっているんですね。ほんとに広いですねえ。」
「ええ。あの広いサンクチュアリで、いろいろな種類の動物や鳥たちが、自然のままの豊かな森の中で自由に生きているんです。」
「いろんな蝶々や昆虫もたくさんいるのよ。」
「ああ、きっとたくさんいるだろうなあ、ぼくがまだ見たこともないような蝶や虫たちが…。」

 わたしは理沙ちゃんの顔を肩越しに見ながら言った。理沙ちゃんの紅潮した笑顔が頷(うなず)く。

「小山さん、この下に見える二つの植林された山までがわたくしたちの地区で、その奥にある緑のよりいっそう濃い山々はそのままあのサンクチュアリに続いているのです。わたくしたちはなるべく広く連続したサンクチュアリを野生の生き物たちに与えてあげたいと考えているのです。ひいてはそれがわたくしたち人間にとっても安全で豊かな自然環境を保障してくれると考えるからなのです。自然と人間はどこまでもつながり合った一つのものですし、お互いがお互いに影響し合っているものですからね。それから、わたくしたちと同じ今を生きているあらゆる生き物たちは、わたくしたちと同じように、この地球上に命が誕生してから38億年の長い年月を、さまざまにその姿や形を変えながら、それぞれの道を連綿(れんめん)と生き継いできたいのちの兄弟姉妹たちやいのちの同士たちなのですものね。」
「ええ、本当にそうですね。」
「それから、あの山のふもとに広がっている集落がわたくしたちの地区に五つある山里地区の内の一つなのです。そしてあの散在して見える、小さな四角い区画がこの山里地区の家なのです。山里地区だけは一つの区画が700㎡、昔の坪数に換算すると200坪ほどになるのですけど、それだけの広さの土地が特別に割り当てられているのです。その代わり、家の周りの丘陵には牛やニワトリなどが放し飼いになっていて、また、住宅地区ほどには娯楽施設や運動施設などが充実していないのです。ですから、ここには自然の中で自然とともに生活したいという思いの強い人たちが住んでいるのです。山里地区の人たちは主に林業や牧畜や養鶏の仕事に従事しています。もちろん、希望すれば他の地区に移ることも出来ますし、また、他の地区のさまざまな施設を利用することも自由にできるのですが…」
「山にはいろんな種類の樹が植えられているんですね。」
「ええ、昔のように杉などの一つの種類だけを植えると花粉の季節にはアレルギー症状で悩まされる方なども増えますから、一つのものに偏(かたよ)ることなく、いろいろな種類のものを植えています。わたくしたちの社会ではどのような形でも一方に偏ることや部分的に偏ることを注意深く避けているのです。社会問題の多くは一方への偏りから生まれるものですからね。わたくしたちは何事にも全一的な調和を心掛けています。ところで、全ての山里地区に生えている樹木の種類や樹齢やその大きさなどが一本一本記録管理されています。そしてそれらが必要に応じて伐採(ばっさい)されて住宅の建築などに使われるのです。ほら、あそこに大きな屋根が見えるでしょう。あそこが製材所兼(けん)材木置き場になっているのです。新しい木材だけでなく、取り壊された建物などのまださまざまな用途(ようと)に使える古材なども蓄えられています。」
「全てが無駄なく管理されているのですね。それにしても、見渡す限りどこまでも緑、緑、緑ですね。」
「はい、わたくしたちはできる限り、住環境などにも緑を多くしたいと思っています。草木の緑は空気を新鮮にしてくれますし、気温の変化なども穏やかなものにしてくれますし、なによりもわたくしたちの眼にも心にも優しいですからね…」
「なるほど、そうですね。」
「なるほど、そうですよ、小山さん。」
「ん。あ、理沙ちゃん、ぼくをからかってるな。」
「え?なんのこと?」
「理沙ちゃんたら。駄目よ、大人の人をからかったりしちゃ。」
「好(い)いもん、ねえ~、小山さん。」
「まあ、理沙ちゃんならいいか。」
「ほら、ね。 だからわたし小山さん大好き。」
「あはははは。参ったね、これは。 ところで、美沙さん、いたるところで何かがきらきら光って見えるんですが、あれは何でしょうか?」
「ああ、あれですか、あれは水路が光っているんですよ。田園地帯や住宅地のいたるところに水路が張り巡らされているのです。」
「水路ですか。」
「はい、水路なのです。 でも、コンクリートで造られたものは一つもありません。みんな、石造りのものや木などで造られたものなのです。自然によりなじみやすいように造られているのです。その水路にはたくさんの魚やえびやカニや水生昆虫などが棲(す)んでいます。蛍もたくさんいるのですよ。それから、子供たちの魚釣りや川遊びの恰好(かっこう)の場にもなっているのです。」
「それなら子供たちも大喜びでしょうね。」
「わたしも小さい頃よくお父さんに連れられて川で遊んだわ。今でも時々友達同士で遊んでいるのよ。川遊びはみんな大好き。透き通った水の中で魚が泳いでいるのを見てるだけでも楽しいわ!」
「それから今の季節は蛍がとてもきれいなのですよ。」
「蛍ですか、もう長い間見てないから久しぶりに見てみたいなあ。」
「今夜一緒に見に行こうよ、小山さん。ほんとにたくさん蛍が飛んでいるのよ。」
「ええ、そうね。 今夜みんなで蛍を見に行きませんか、小山さん。きっと小山さんにも気に入っていただけると思いますわ。」
「はい、ぜひ見てみたいです。きっと美しいだろうなあ。」
「とってもきれいよ、小山さん。」
「水路については、エアーカーでこの地区の上空を一巡りし終えた後、小型のエアーカーや自転車に乗ったり、歩いたりしながらご案内するときにじっくり見ていただきますわ。それではこれから少し北に向かいます。ご覧のように、山里地区に引き続いて田園地帯が広がっています。田園地帯にはまず広い水田地帯があり、それから麦や蕎麦(そば)や粟(あわ)や稗(ひえ)などのほかいろいろな豆類の畑地が続き、さらには果樹園とイモ類やさまざまな野菜類の畑が縞状(しまじょう)に続いています。」
「ああ、素敵な眺めですね。」
「水田はすべて無農薬の有機栽培で、さまざまな品種の普通米のほか陸稲(おかぼ)やもち米なども耕起栽培(こうきさいばい)や無耕起栽培で作っています。ですから、水田にはタニシやドジョウやめだか、そのほかいろいろな虫たちが一緒に住んでいます。タニシやドジョウなどは時々わたくしたちの食卓にも上るのですよ。」
「タニシですか。わたしはまだタニシを見たことがないんですよ。」
「え? 小山さんまだタニシ見たことないの。じゃあ、まだ食べたこともないのね。あんなおいしいものまだ食べたことがないなんて...」
「小山さん、また、水田にはカルガモやサギやトキなどの鳥たちもたくさんいるのですよ。ですから、田園地帯は生き物たちの本当に豊かな生活の舞台にもなっているのです。その様子はいつまで見ていても飽きないくらいですわ。」
「それでは今はここにも、あの遠い昔にあったのと同じような本物の自然が帰ってきたんですね。上から見てもほんとに穏やかでいい眺めですね。たくさんの生き物たちの集う自然の景色は遠目(とおめ)にもほんとうに美しくて豊かなんですね。」
「ああ、ほんとにきれい!」
「きれいだね、理沙ちゃん。」
「小山さん、あの右側に続いている山々のふもとには、残り四つの山里地区が海岸線の真近くにまで続いているのですよ。そしてその内お気付きになると思いますが、あの山々と西の川筋とに枠取られたこの地区の平地部分はちょうど瓢箪(ひょうたん)のような形をしているのです。」
「瓢箪ですか、それは面白いですね。」
「はい、ちょっと歪(いびつ)な形の、細長い瓢箪のような形をしているのです。」
「あ、あそこに住宅地が見えてきた。」
「あの住宅地はこの地区の一番南側にある小区なのですよ。あの住宅地の真ん中辺りにある広場があの小区の公園です。公園の中やその周囲には運動用や娯楽用のさまざまな種類の施設があります。」
「あれ、あの小区全体が何か花のような形に見えますね。それともこれはわたしの眼の錯覚なんでしょうか。」
「いいえ、小山さん、実はあれは咲きかけの黄色い睡蓮の花を模(かたど)ってあるのです。上空から眺めると、公園と住宅地と道路の全体の配置がちょうど咲きかけの睡蓮の花に見えるように最初から設計されているのです。他の16の小区もみんないろいろな種類の睡蓮の花を模っているのです。ですから、天気の良い日に、この地区全体が見渡せるほどの高さから見下ろしてみると、いろいろな色の睡蓮の花咲く瓢箪池が見えるのです。」
「まったく驚きますね、皆さんにそんな遊び心があるとは。」
「ええ、わたくしたちは本質的なことの中に遊び心をそえることも忘れません。本質的なことはその究極的な形では純粋な悦びに他ならないとわたくしたちは考えているのです。ですから、本質を生きながらわたくしたちはみんな生きていることの純粋な悦びをも一緒に味わっているのです。」
「ああ、なるほど、皆さんの中に本質的な緊張感のようなものの中にも大らかなゆとりを感じるのはそのせいなんですね。皆さんは本質を生きながら同時に純粋ないのちの悦びをも味わっていらっしゃる。」
「はい、その通りですわ。」
「小山さん、生きているってほんとに楽しいことよ。」
「まったく、ここでは生きていることがそのまま純粋な悦びなんですねえ。わたしはこれまでいつも何かに追われるように生きてきてそのように感じたことがほとんどなかったようにすら思えてきます。まったくこれまでの人生はなんといういのちの無駄遣いだったのでしょうか。わたしはこのLOTUS世界に来ることができて、そのうえ皆さんに会うことができて本当によかった。皆さんは大自然との調和の中で、本当の自分を生きながらその生きることを本当に楽しんでいらっしゃる…。」


    [ 未 完 ]


  ・・・ホームページから転載・・・




ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント